自毛植毛の仕組み
ここでは、被害が非常に問題視されている人工毛植毛ではなく、自毛植毛について解説します。自毛植毛では、後頭部や側頭部から自分の髪の毛をドナーとして利用して、脱毛部に植え替えていきます。毛を成長させるのに必要な毛母細胞移植するため、移植後も自分の髪の毛として成長していき、薄毛対策としては半永久的な効果を誇ります。
後頭部や側頭部の毛母細胞は、男性型脱毛症であるAGAの原因となるDHT(ジヒドロテストステロン)の影響が少なく、移植後も再び薄毛になってしまうというリスクを抑えることが可能となっています。人工毛植毛とは違い、自分のDNAからできた髪の毛を移植するため拒否反応が起こりにくく、仕上がりも自然になるといったメリットがあります。
FUT法
自毛植毛には二つほど種類があり、そのうちのひとつがFUT法と呼ばれるメスを使用する手術です。FUT法では、後頭部や側頭部から帯状に頭皮を採取し、採取した髪の毛から数本ずつ脱毛部に植え込んで行くという方法を取ります。メスを使用する手術であるため傷跡がいくらか残ってしまうのが欠点ですが、髪の毛が生着する確率が最も高いという長所も持ち合わせています。
つまり髪の毛を無駄なく生かすことができ、その後も自分の髪の毛としてしっかり成長していくことが期待できる手術です。手術後は抜糸をする必要がありますが、手術の最中でも麻酔を行うため、痛みに苦しむことはありません。しかし、刈り上げにしたりぼうず頭にするような方であれば、傷跡が将来的に目立ってしまうという欠点があります。
FUE法
これに対し、FUEくりぬき法と呼ばれる植毛手術は、パンチと呼ばれる手術器具を使用して毛根ごと毛を吸引し、それをそのまま植え込んで行くという方法を取ります。メスを使用しない手術であるため頭皮への負担が少ないのがメリットですが、毛根を吸引するのは非常に細かい作業となり、手術時間の長期時間化や手術費用が高額になるなどのデメリットがあります。
なお、パンチを使用して抜き出した傷穴は1~2日程度で塞がるため、短時間で手術を一度終わらせて、日常生活を行いながら植毛手術を続けていくといったことが可能です。手術そのものは、一度バリカンで髪を短くしてから行うのが基本で、移植直後は髪の毛は一旦抜けるのが通常です。しかし毛根の細胞が生きているため、しばらくすれば髪の毛が再び生えてきます。